国の様々な政策提言は、労働力をもとに作成されることが多くある。
しかし、その提言の根拠となる労働者の数は本当に正しい数字なのだろうか。
当ブログで度々話題にしている労働力不足に際して、よく用いる『生産年齢人口』
とは、国内で行われている生産活動の中核の労働力となる年齢の人口のことで、
日本では15歳以上65歳未満の年齢に該当する人口と定義されている。
でも、規定しているこの年齢って、いつの時代のことなのかと思ってしまう。
15歳といえば、中学校を卒業する年齢である。昭和初期やそれ以前の時代であれ
ば、その後就労する人が数多くいたことだろう。ただし、直近のデータによる高校
の進学率は、98%以上となっている。つまり、義務教育を修了したのち直ちに
就労する15歳はほとんどいないということで、生産活動の中核の労働力ではない
ことになる。
さらには、大学への進学率も50%を超えていることを踏まえると未成年者を生活
活動の中核の労働者と位置付けることには無理があるのではないだろうか。
つまり、官僚が机の上ではじき出している数字ほどの労働者がいないということで
あり、見かけの数字以上に各業界の現場は労働力不足に喘いでいる。
最近の風潮は、AIやICT、ロボットの開発導入によって現状の産業を維持しようと
していることが主流となっているように思う。でも、労働者だけではなく人口その
ものも減少傾向にある今、現状の産業を維持することが本当に正しい道なのか大い
に疑問を感じる。
そして、高齢者介護事業も同様だろう。
現状の公的サービスを維持することが正しい道とは到底思えない。
たとえ高齢者人口が増えていたとしても、対象者の考え方を変えるという意味で
サービスの量を減らしていくべきだし、サービスの種類も公的なものを私的なもの
へ移行するなどして減らしていくべきだろう。
最近の風潮を押し通せば、“必要な産業”が生き残るのではなく、“強い産業”だけ
が生き残ることになるのではないかと不安に感じる。
強い影響力や経済力を背景にAIやロボット産業、娯楽産業、人材流動にかかる産業
が発展することは大いに結構なことだが、それと引き換えに生活に直結する産業が
衰退してしまっては本末転倒ではないのだろうか。