誰も自分が不利益になることを好んで望む人はいない。
それは、個人という括りでも、ある一定の集団という括りでも同様だろう。
たとえば、世代という括り。
未成年世代、結婚出産世代、子育て世代、子育てを終えた世代、年金受給世代など
といった括りがある。
今話題となっている「異次元の少子化対策」の対象となるのは、前述前段の3世代
となるわけだが、後段2世代の中には「自分達には関係ない。それどころか、その
対策を講じることによって自分たちに不利益が生じることは許せない。」とおっし
ゃる方がいたりする。
私も「子育てを終えた世代」に属するが、その考え方には承服できないし、あえて
打算的に自分の利益を考えた場合にも間違った考え方だといえる。
私と同世代の方々は、約20年後に年金を受給することになる。
そして、自分達が受け取る年金の財源は、20年後に納められた保険料となる。
これから生まれてくる子供の数が少なければ、20年後に自分達が受け取る年金の
財源も少なくなる。そうすると当然自分が受け取る年金額も少なくなる。
つまり、「自分達に関係ないどころか大いに関係がある」ということである。
同世代で「異次元の少子化対策」に「自分達には関係ない」といって反対している
人を見ると「なんと浅はかな事か」と思ってしまう。
それでは、今既に年金を受給している世代はどうなのだろうか。
その方々に、「自分達には関係ないし、対策を講じることによって自分たちに
不利益が生じるし、20年後なんて生きているかどうかもわからない」と言われて
しまうと返す言葉がない。
たしかに、目の前の生活のことを考えるだけで精一杯だったり、先々のことを思う
と様々な不安が生じることも理解できる。
ただし、年金支給額の見直しが話題にあがるたびに「年寄りは早く死ねというのか
、高齢者軽視だ」というのは言い過ぎだろう。
今は、高齢者厚遇で若年層冷遇が、極端なほど色濃く出ている政策が長年継続され
ている。今の状況を暴言として表現すると「子供なんて生まれてくるなというのか
、子供軽視だ」という方がふさわしい。
ただ残念ながら、生まれてくる前なので、暴言であっても発することができない。
だからこそ、我々が考えて行動する必要がある。