北海道江別市でケアプランセンター、小規模多機能ホーム、デイサービス、訪問看護ステーションを運営するみのりの丘グループ

みのりの丘

みのりの丘代表ブログ

複合型サービス への参入

2023.6.8

国が公表した今年3月までの意向調査の結果によると、

厚生労働省が来年度の介護報酬改定で創設することを検討している、訪問と通所を

組み合わせた新しい複合型サービス への参入を既存の事業所の多くが前向きに検討

する意思を持っているとのことだった。

 

新しい複合型サービスは、通所介護の事業所が利用者に必要な訪問サービスを提供

できるようにすることで、現場がより柔軟に支援を展開できる環境を作る狙いがあ

り、人材不足が深刻化する高齢者介護業界にとっては切り札となり得る存在と期待

されている。

 

長年、多機能サービスを運営していて思うことは、単独の通所サービスや訪問サー

ビスは事業としての効率が悪く、ご利用する方にとっても使い勝手が決して良いと

は言えないものだということである。

 

例えば、通所サービス、訪問サービスに各3名のスタッフが配置されていた場合、

それぞれのサービス事業所は3名で対応できるご利用者数が限界となる。

もしも4名でなければ対応できないご利用者のご要望を受けた時には、一部対応を

お断りせざるを得ない。逆に、一時的に2名で対応可能なご利用者数に減ったから

といってスタッフ1名を減らすということにはならない。

その結果として、ご利用者は希望通りの支援を受けることに制限がかけられ、我慢

を強いられることにつながってしまう。

 

訪問と通所を組み合わせた複合型サービスに6名のスタッフが配置されていた場合

状況によって、通所サービスに4名、訪問サービスに2名といった具合にスタッフ

を柔軟に配置して対応することが可能となり、ご利用者のご要望をお断りすること

もスタッフが余ってしまうことも減らすことができる。

 

当方が運営する多機能サービスのご利用者から、「今日は通いではなくて訪問で

対応してほしい」、「しばらくは通い(訪問)のみで対応してほしい」といった

具合に、その日の体調や介護環境の変化などによって対応の変更を求められること

は日常的におきていて決して珍しいことではない。

こういったことから考えると、単独の通所サービスや訪問サービスは、限りある

人材を有効に活用すると言った点においては、対応力が脆弱と言わざるを得ない。

 

援助を必要としている高齢者を取り巻く状況は、常に一定ということはほぼなく、

不安定で変化に富んでいる。そのため、対応する我々には即応性と柔軟性が求め

られる。

まして、限りある人材を駆使したうえで、そういった対応が求められるとなると、

複合型サービスのような形態をとらなければ相当難しい。

既存の事業所の多くはそのことを承知しているため、複合型サービスへの参入は

厚生労働省が提示する条件にもよるが、既定路線と考えていることだろう。

 

経験上、単独の介護サービスを複合型サービスに切り替えることは容易いことでは

なくクリアしなければならない難問がいくつかあると考えている。

だからこそ、実際に参入するかどうかは別としても、早い段階から検討を重ねてい

かなければならないし、準備期間もそれなりに必要になってくる。

更なる柔軟性が求められている状況にあって、新しい取り組みについて検討する

ことは避けて通ることはできない必須事項であろう。

そうすると、複合型サービス への参入を全く検討していない既存の事業所って、

何を考えているのだろう。ひょっとして何も考えていないのだろうか。

 

あくまでも個人的な見解ではあるが、将来単独の通所サービスや訪問サービスは

社会保険サービスとしてではなく、インフォーマルなサービスとして存在するので

はないかと思っている。

そのようになってから検討を始めたのでは”時すでに遅し”となってしまう。