政府の規制改革推進会議で、介護サービス事業者に配置義務がある管理者や専門職
の既定ルールの見直しが話し合われている。
以前に全国老人福祉施設協議会から、「管理者に求められる機能は、運営管理なの
か経営管理なのかによって異なる。小規模事業所の管理者が担っているのは、その
ほとんどが運営管理で、経営的視点を持ち合わせている人材は少なく、人事・会
計・契約などは本部が行っている場合が多い」
との指摘があった通り、当方が運営する6つのサービス事業所の管理者も人事や
会計に携わってはいない。そして、中には管理者を一本化したほうが円滑に事業を
運営することができるサービス事業所もある。
現状の介護保険制度では、同一敷地内で一体的に運営されていない複数のサービス
事業所の管理者を兼務することはできない。たとえ合理性があったとしてもだ。
人材不足が叫ばれるようになって初めてこうしたルールの見直しが行われることは
非常に情けないことではあるが、それでも必要な見直しは適宜進めてほしい。
さらに現状の介護保険制度では、基本報酬に加算される報酬の算定要件として医療
の専門職を常勤専従で配置することが義務づけされているものがある。
しかし、それらの加算の意味することを鑑みても、常勤専従でなければならない
理由が全く見当たらない。
そもそも、日常生活を支援する高齢者介護の現場において、一つのことだけにしか
対応しないなどということはあり得ない。
もちろん分業を否定しているわけではない。しかし、分業された役割を中心に業務
が組み立てられることはあっても、それ以外のことは一切かかわらないなどという
ことはあり得ない。
介護保険制度は学校の校則と同様に、現状に即していない又は全く持って意味不明
というルールがあまりにも多すぎる。
こうした無用なルールによって生み出される”無駄”は、人材不足に喘いでいる介護
現場を大いに苦しめている。
今行われている既定ルールの見直しの話し合いが真っ当な方向に進むことを心の底
から願っている。