厚生労働省が公表した昨年の国民生活基礎調査の結果によると
高齢者世帯が1693万世帯、高齢者の一人暮らしが873万世帯といずれも過去
最多を更新し続けているとのことだった。
人口部分布を勘案すると、高齢者世帯や一人暮らしの高齢者が増えてくることは
予めわかっていたことであり、それ自体はさほど大きな問題ではないと思うが、
ここのところの肌感覚では、そういった方々を支える家族や親族が近くにいない方
が非常に多くいらっしゃるように思え、そのことが大きな問題と感じている。
「そのために介護保険サービスがある。」といっても、サービス種別によっては
様々な制約があり、我々が担いたいと思っていても許可されない支援内容もある。
また、サービスとサービスとの間に隙間が生まれることも少なくなく、どうしても
家族に担っていただかなければならない支援というものが発生する。
ただ、遠方であっても家族がいるのであればまだいいのだが、未婚や未出産を選択
する人が増えている状況において、そうした方々が高齢になった時には家族が全く
いないという可能性が高まってくる。
高齢者介護にかかわって数十年が経過するが、時代背景とともに整備しなければ
ならない事柄が大きく変化していることを実感する。
今もそして今後はなおのこと、「必ず家族がいる」という前提で各種制度を設計
することには限界が生じてきている。
政治にかかわる方々に対しては、家族がいなかったとしても不安なく老後を過ごす
ことができるように、日常的な支援ばかりではなく人権という視点に立った法整備
を考えてほしい。