『厚生労働省は24日、来年4月の介護報酬改定に向けて協議を重ねている審議会
で訪問介護を取りあげ、ホームヘルパーの人材難が更に加速し、昨年度の有効求人
倍率が過去最高の15.53倍にのぼったと報告。施設の介護職員などと比べても
際立って厳しい現状を明らかにし、人手不足が大きな課題との認識を示した。』
との報道を見て思うこと。
介護報酬改定が行われるたびに、訪問介護の事業継続が厳しくなる内容を打ち出し
続けておいていまさら何を言ってんだろうかと思ってしまう。
同審議会では、多くの委員が来年4月の改定で介護報酬の引き上げ、処遇の改善、
負担の軽減などを求める声が相次いだそうであるが、「ヘルパーは専門性が低く
社会保険サービスとしての適性を欠く」などといって、訪問介護従事者を蔑むよう
な発言を繰り返してきた厚生労働省や審議会が何言ってんだと言いたくなる。
私の知る限りにおいては、ヘルパーは立派な職業であり、介護のプロである。
単に身体介護や家事援助の卓越した技術を持っているというだけではなく、医療
現場とご利用者やご家族をつなぐ重要な役割を担ってくれていたり、ちょっとした
工夫や考え方によって家族介護が円滑に行えるような助言をくださったりする。
そんな欠くことのできない人材を粗末に扱ってきた結果が今だろう。
ただ冷静に考えても、訪問介護は財源や人材が不足している昨今において、事業の
効率が良いとは言えないことから、縮小していかざるを得ない介護サービス種別
だろうということもまた否めない。
そのため、訪問介護ニーズは、多機能サービスの拡充や軽度者の保険適応外しと
いう形で担保していくしかないように思われる。
それにしても、厚生労働省の役人も審議会に出席している人たちも、卓上の空論
ばかり並べていないで、もっと介護現場に足を運んだほうが良い。そうすると
「専門性が低い」などという発言は出てこないだろうし、より現実的な政策を
論じることができるはずだ。