厚生労働省が1日に公表した『厚生労働白書』の中で、今年は「つながり」や
「支え合い」をテーマにあげ、制度の狭間にあって必ずしも十分に対応しきれて
いない課題も顕在化しているとして、下記の具体策を打ち出した。
◯ 世代や属性を超えて様々な人が交差する居場所づくり
◯ 高齢者、障害者といった“属性別”から属性を問わない支援への転換
◯ 支援の申請を待つ「受動型」から「能動型」への転換
◯ デジタルを活用した、時間や空間を超えた新たなつながり、支え合いの創造
また、「制度から人を見るのではなく、“その人の生活を支えるために何が必要
か”という観点が大切」との認識も同時に示しており、とても良い方向へ進んで
いると感心した。
私は様々な場所で、「高齢者や障がいを持った方々は特異な存在ではなく、同じ
地域に住む同じ住民である。」、「地域の中で支援を必要としているのは、高齢者
や障がいを持った方々とは限らない。」、「場面が変われば、支える立場と支えら
れる立場は容易に入れ替わる。」と申し上げてきた。
社会保険制度を運営するためには、カテゴライズすることはある種必然といえる
が、いつの間にかその分類が一般化され、日常生活の中でも同様に取り扱われて
しまうことが多くある。そしてその結果、区別が差別を生み出していく。
10人10色の日常生活は、カテゴライズされるべきではない。
社会背景の変化とともに孤立や孤独が生み出されやすくなっている今だからこそ、
「同じ地域に住む者同士が、知り合い、必要な時には助け合う。」という単純な
ところに一度立ち戻るべきであろう。
ただし、言葉にすることは簡単であるが、実行・実現することは中々難しい。
今、当方事業所がある商店街とお隣の商店街のいくつかの店舗が発起人となって、
「地域の支え合いの推進」を話し合うこととなっている。一人の力は微々たるもの
であっても、多くの方々と共に歩めば大きな力となって、地域住民のお役に立てる
こともあるだろうととても期待している。
私たちもその一役を担うことができればと考えている。