『独占』とは、文字通り『ひとりじめ』することであるが、社会経済においては、
一つの企業が販売市場を支配することを指す。
企業側としては、競争相手がいなければ、自社の利益が脅かされる心配はなく、
価格設定も自由に行えて、効率的に大きな利益をあげることができる『おいしい
シチュエーション』といえる。
そのため、各企業はそういったシチュエーションを目指して商品開発などを行う。
無論、営利を追求する企業が、そういったシチュエーションを目指すこと自体は
特に悪いことではないし、至極当然である。
しかし、人間は欲深い生き物であるため、おいしいシチュエーションを「さらに
おいしくしよう!できるだけ長くその状況を続けよう!」と悪智恵を働かせる。
そして、粗悪な商品を高値で売り、より多くの利益を上げようとしたり、競争相手
となりうる新規参入企業の邪魔をしたりするのである。
残念ながら消費者は、「暴利をむさぼっている」ことを知っていたとしても、消費
する価値があり、選択肢がそこにしかなければ、その商品を買い続けるしかない。
そこで話が終われば、「あの会社、うまいことやったな!」で済むことになるが、
欲深さを追求した結果は決まって悲惨な末路をたどる。
なぜなら、人間の欲深さには底がないからである。
人間は、底なしの欲求を満たすためなら犯罪行為もいとわない思考に陥りやすく、
一度でも”見逃してもらえた”という成功体験が加われば、その犯罪行為はより悪質
かつ巧妙になっていく。
誰も成し遂げなかったこと(思いつかなかったこと)を先駆的に始めた人(企業)
に対して一定の敬意は評するが、「独占し続けよう」という思考は賛同できない。
最終的にそういった思考を持つ人や企業は、人間の欲深さに押しつぶされて、成し
得た功績よりも悲惨な末路の記憶しか残せない。