北海道江別市でケアプランセンター、小規模多機能ホーム、デイサービス、訪問看護ステーションを運営するみのりの丘グループ

みのりの丘

みのりの丘代表ブログ

役人のくだらない支配欲

2023.9.27

『厚生労働省は15日の審議会で、「介護報酬体系の簡素化」をテーマとして取り上げ、来年4月に控える次の改定に向けて具体策を検討していく方針だ。厚労省によると、今の介護報酬のサービスコード数は実に2万1884と、制度発足当初(1769)の12.4倍に膨らんでいる。厚労省は今後、多くの介護施設・事業所が算定している加算を基本報酬に包括化したり、ほとんど算定されていない加算を整理したりすることも含め、報酬体系の簡素化をめぐる議論を深めていく考えだ。』

との報道を見て思うこと。

 

当ブログでも繰り返し触れているように、介護保険制度は改定されるたびに複雑化

されている。それでも我々介護保険サービス事業者は、業としているため、その

流れについていかなければならない。(かなり必死に!)

しかし、介護保険サービスをご利用される一般の方々は、この複雑化されている

流れについていく必要はあるのだろうか。いや、全くないだろう。

 

介護保険制度が始まる前までの措置制度の頃は、「国が決めたサービス内容を受動

的に利用する」といった考え方が主流で、言葉は悪いが「自分の考えを示さずに、

お国の思召しに沿って黙って従う」ことが求められていた。

その後、時代背景の変化とともにこういった考え方が適切ではないと判断されて、

介護保険制度では、「自分の考えに則って、主体性を持って能動的に社会保険サー

ビスを利用する」といった考え方に変わっていった。

つまり介護保険サービスは、「何をどのように利用するのかは利用者自身が自分で

決める」ことが前提となっている。

 

しかし、介護保険サービスをご利用される方々の多くは、ご高齢であったり、認知

機能の低下によって判断能力に不安を抱えていたりする。そのため、「何をどのよ

うに利用するのかは自分で決める」と言われても、肝心の制度が改定されるたびに

複雑化されてしまっては、自分で決めるどころか制度を理解することでさえ難しく

なってくる。

 

そのため、我々介護保険サービスにかかわる専門職が、複雑化された制度を一般の

方々へわかりやすく説明することになるのだが、説明をしていていつも思うことは

「何で、初めからわかりやすい制度を作ろうとしないのだろうか」である。

 

うがった見方にはなるが、このような社会保険制度を組み立てる役人は、あえて

一般の方々に理解しにくく複雑化させているように思える。そこには、「自分の

考えを示さずに、お国の思召しに沿って行動する」という役人の国民に対する根強

い支配欲が透けて見える。制度を複雑にするほどに、国民に理解できない制度に

するほどに、役人の支配力が強く影響することになる。

いくら介護保険制度が「走りながら考える」ことを前提に、積極的に変化を加える

ことを良しとしていたとしても、たかが20年程度で12倍以上にサービスコード

が細分化される必要はないはずだ。

例えるなら、「お店のメニューが12倍に増えました」と言われるようなもので、

そのなかから選べと言われても「増えすぎてよくわからない」となるだろう。

 

ここ数年、「介護保険事業における事務負担の軽減」がテーマとして取り上げられ

ることが多くある。しかし、厚生労働省が主導するこの話し合いの実態は、事務負

担を軽減するために複雑化されたルールや取り揃えなければならない書式がいくつ

もあって、負担が増える一方となっている。

この様を見るだけでも、彼らには”簡素化”する気など無いということがわかる。

 

厚生労働省は今後、「介護報酬体系の簡素化」をテーマに話し合いを進めるようだ

が、今一度”簡素化”を辞書で調べて意味を理解してから話し合ってもらいたい。

役人のくだらない支配欲の巻き添えを食らうのは決まって弱者である。

役人は、弱者をいたぶることが自分の務めだと勘違いしているのではなかろうか。