来年度の介護報酬改定をめぐって、各団体が少しでも自分たちの処遇を高めようと
様々な形で声明を出している。
日本デイサービス協会も例にたがわず声明を出しているのだが、この団体の声明は
何だが”ズレて”いる。
先日、同協会は豪雪地帯の通所介護の取り扱いについて
「豪雪地帯では介護職が事業所でも利用者宅でも雪かきを都度行っており、重労働になっている。重機の購入や除雪の委託なども必要になる。冬用タイヤの購入費・管理費なども発生する」と指摘。「こうした背景をしっかり考慮したコストの再調査と適切な議論を求める。実情とかけ離れた説明がなされたことは容認できない。豪雪地帯の送迎に特段の差異がないとの主張は到底納得できない」と訴えた。
が厚生労働省からは
「例えば車輛費は、豪雪地帯よりも他の地域の方が高いなど、豪雪地帯の送迎の支出が高いという結果は必ずしも得られていない」と訴えを退けられてしまった。
ひょっとすると、北国で過ごしている方は、「我々の地域は他の地域と比べると車
両の維持費が高い」と思っている人が少なくないのかもしれないが、車の燃費は
冷暖房にかかる費用だけが影響するわけではない。渋滞の多い都会の方が燃費は
ずっと悪い。そのため、豪雪地帯だからと言って燃費が著しく低いとは言えない。
それに温暖な地域では1年中車の冷房を使用している場所もある。
また、「雪国では必須となる冬用タイヤの購入費が維持費として増える」と考えて
いる方もいるかもしれないが、夏用であれ、冬用であれタイヤは使えば摩耗する。
使っただけのタイヤ本数が必要なのはどこの地域でも同じことである。
豪雪地帯の通所介護の取り扱いについて、同協会が訴えなければならないことは
”コストの検討”ではなく、”所要時間の検討”のほうであるべきだ。
豪雪地帯とそうではない地域で大きな差が出るのは、冬期間のサービス提供(準備
を含めて)の時間である。
冬に車を動かすためには、除排雪という夏場にはなかった手続きが必要となる。
また、冬の道路は滑りやすく、自ずと運転する速度が遅くなる。そのため、同じ
距離を走らせても、所要時間が大きく変わってくる。
案の定、厚生労働省も豪雪地域の冬期間の通所サービス提供にかかる時間について
は、検討することを奏上に挙げている。
ピントがずれたことばかりを主張する人の意見は聞き流されがちにある。
日本デイサービス協会はピンポイントで主張を展開していかないと、全ての主張を
聞き流されてしまう危険性があることを理解したほうが良いように思う。