厚生労働省が10日に公表した『介護施設・事業所の経営状況を明らかにする調査
(今年度経営実態調査)の結果』によると、昨年度決算の全サービス平均の収支差
率は2.4%で、2020年度調査と並ぶ過去最低の水準となった。
厚労省は今回の結果について、「他産業では利益率が上昇している一方で、介護分
野では全体として低下している。かなり厳しい状況にある」との認識を示した。
こうした状況から、2024年度の介護報酬改定は”プラス改定”となることが予想
される。
物価がグングン上昇している中で、以前に当ブログでも述べたように介護保険サー
ビス事業の報酬(価格)は、我々事業者が勝手に値上げを行うことができないこと
から、増えた経費を価格に転嫁することができず、介護保険サービス事業者の収益
は悪化の一途をたどっている。
収益を上げることが出来なければ、営業を継続することも、優秀な人材をつなぎ留
めておくことも難しくなってしまい、潰れていく事業者が加速度的に増えていくこ
とだろう。
国は、先日閣議決定された『介護・障害福祉職員の給与を平均で月6000円引き
上げ』と合わせ技で介護報酬の引き上げを検討していることと思うが、こちらが
期待するほどの増額が見込まれるとは到底思えない。
要援護者が増え続けている中で、介護報酬(単価)を引き上げるということは、
国民により多くの負担を強いることに他ならない。
昨年度以降は、給与が増えても物価がそれ以上に高騰しているため、実質賃金が
マイナスとなっており、「国民の生活が貧しくなっている」状況にある。そうした
状況でさらに国民に負担を強いることが可能とはとても思えない。
国民の負担を必要以上に増やさずに、介護保険サービス事業者を守るためには、
当ブログでは何度も繰り返し訴えていることではあるが、『介護保険サービスの
利用に該当する者の数を減らす』しか方法がないように思う。
軽度要援護者の介護サービスを保険給付から外して、地域支援事業等へ移管する
必要がある。
私たちは、そのためにも介護保険外(我々は自主事業と呼んでいる)事業をより
確実に充実した内容にしていかなければならないと考え実践している。
耳障りのいい言葉を繰り返し、問題を先送りしたところで、数年先に地獄が待って
いるだけだ。