先月当ブログでも取り上げ、厚生労働省が提案した内容を強く批判した『訪問介護
と通所介護を組み合わせた新たな複合型サービス』について、厚生労働省は来年度
の介護報酬改定での創設を見送る方針を固めたそうである。
当ブログでこのことに触れた際に、「今回提示された具体像を協議している審議会
は、ポンコツ集団のようだ」と申し上げたが、まさにその状況にあることが証明さ
れてしまった。
新しい複合型サービスは、現場がより柔軟に支援を展開できる環境を作り、人材不
足が深刻化する高齢者介護業界にとっては切り札となるべき存在でなければならな
かったものを、原案を作成した厚生労働省も内容を審議した委員も、何を守ろうと
しているのか意味不明としか言いようがない。
しかし、同時に高齢者介護業界の人材不足解消を目的として、専門職を配置すべき
ところにまで規制緩和の名のもとに無資格者を容認する考え方には大いに違和感を
覚える。
当方に所属する介護に従事するスタッフの98%以上が国家資格である介護福祉士
の資格を有している。無論、「資格が仕事をするわけではない」ことは重々承知し
ているが、介護のプロである以上は必要な知識や技術を有していることは最低条件
であり、介護福祉士資格はその条件を担保するものである。
「なんでもかんでも介護保険サービス、どんなサービスにも専門職を配置」とする
から限られた人材を有効に活用できなのである。
当ブログでも再三訴えているように、専門性が高いとは言えない軽度要援護者への
外出や交流の支援は、介護保険サービスの対象外として、専門職を配置しなくても
運営できるように変更することで、専門性が高いニーズに対して必要な専門職を
十分に配置することができるはずだ。
こうしたメリハリを考えないから、いつまでたっても「金が足りない、人が足り
ない」を繰り返すことになる。
行政や法制度に関する専門的な知識を持たない者でもこれくらいのことはわかる。
厚生労働省も審議委員も何でこのことが理解できないのか、または何らかの都合で
理解しようとしないのか、さっぱりわからん。