今月5日に開かれた経済財政諮問会議で『全世代対応型の持続可能な社会保障制度
の構築』に向けた今後の考え方や取組について話し合いが行われ、増え続ける社会
保障ニーズに対応するための財源を確保するため、予てから話題となっていた『要
介護1、2の方が利用する訪問介護、通所介護を市町村の事業へ移管することや居
宅介護支援のケアマネジメントでも利用者負担を徴収する』ことについて、次々回
の制度改正の前に結論を出す考えを示した。
ということは、来年の介護保険改正の次の改正(2027年度)で実行に移すこと
が濃厚ということになる。当ブログでも繰り返し、そうする必要性を訴え続けて
きたので、歓迎こそはしないがやむを得ない措置であろうと思っている。
通所介護サービスを利用されている方の内、要介護1、2の認定を受けている方が
約7割いらっしゃる。事業所の立場から言うと、7割のご利用者が介護保険給付の
対象から外れることになるため、事業運営に多大な影響を与えることになり、大幅
な改革を迫られることになる。
また、介護保険給付から外されるとはいっても、全額自費負担のサービスとなるわ
けではなく、市区町村の財源で同等のサービス費を賄うことになるため、各市区町
村の考え方や財政状況によって、事業運営の在り方も地域によって大きく変わって
くることが予想される。
そこで、当方事業所がある江別市の今後を勝手に占ってみることにする。
江別市は、良くも悪くも超保守的で大幅な変革を好まない傾向が強い。そして、
これまでの社会保障に係る政策を見ていると、国が示した標準的な考え方やお隣の
札幌市の考え方に準じて計画し実行している印象にある。
今回話題にしていることについても同様の流れになることが予想される。
国が示した標準的な考え方や北海道の政令指定都市の考え方に準じた政策に舵を
切ること自体は別段問題ではないだろうし、妥当な考え方と捉えることもできる。
しかし、国が示した標準的な考え方は、関東首都圏をベースとしている。
これから先、今以上の人口減少や少子高齢社会が待ち受けている。そして江別市は
残念ながら、関東首都圏や札幌市とは比べ物にならないほどのスピードでその状況
が加速していくこととなる。そうすると、関東首都圏や札幌市と同じような政策を
実行しても、いずれは人もお金も足りなくなってしまう。なので、いつまでも同じ
ような政策を継続することが困難な日が訪れる。
結果として、「市の財源で介護保険給付と同等のサービス費を賄うことはできない
ので、サービス費は半額にして、残りは自費負担とする」なんてこともあり得る。
このように、いきなり梯子を外されたご利用者も事業者もたまったものではない。
できることなら、江別市には自治体の将来を見越して、独自の介護予防政策を時間
の許す限りにおいてじっくりと考えて、来る時に備えていただきたいと切に願う。