来年度の介護報酬改定率はプラス1.59%で決着することになった。そして、
介護職員の「処遇改善加算」にかかる上乗せ分のプラス0.98%を差し引くと
介護サービス事業所へ配分される実質的な改定率はプラス0.61%となる。
この決定された内容を見た多くの介護サービス事業の経営者は、憤慨と落胆の感情
を持ったことだろうと思う。
なぜなら、消費者物価上昇率がプラス3%前後を推移している中で、1%を下回る
改定率では、収支の減額を余儀なくされることになり、経営が益々厳しくなること
を意味するからだ。
当然、私も他人事ではなく将来を見据えた事業計画や経営戦略を考え続けている。
だからと言って、介護報酬改定率をもっと増やせば万事解決するわけではないの
が、公的社会保険サービスが主な収入源となっている企業の現実である。
なぜなら、介護報酬改定率のプラス幅を大きくするということは、同時に社会保険
料の増額や増税を意味することになるからである。
ここ十数年間、毎年のように社会保険料が増額改定されており、保険料の支払いが
企業の経営を圧迫してきている。
つまり、収入が増えた分だけ支出も増えていく構造となっている。
そのため、思い描いたとおりの賃金アップや設備費に資金を回すことが難しい企業
が多くある。
もちろん、社会保険料を主な財源としている介護サービス事業を経営する企業が、
社会保険料を滞納するなど言語道断である。ただ、保険料を支払うことが難しく
滞納や経営が破綻する企業が軒並みに増えてきていることもまた現実である。
これまで通りのやり方で介護保険政策を続けていくと、介護サービス事業者もサー
ビスを利用する要援護者も共倒れになることが目に見えている。
当ブログでは繰り返し訴え続けていることではあるが、
今こそ、『脱公的サービス』を真剣に考える時ではないのだろうか。