今月27日に厚生労働省が公表した『人口動態総計速報(令和5年)』によると、
・出生数は、758,631 人で過去最少(8年連続減少)
・死亡数は、1,590,503 人で過去最多(3年連続増加)
・自然増減数は、△831,872 人で過去最大の減少(17 年連続減少)
・婚姻件数は、489,281 組で減少 (同 30,542 組減少 △5.9%)
・離婚件数は、187,798 組で増加 (同 4,695 組増加 2.6%)
という結果が出たそうである。
この数字を見て、何か思うところがある方もいれば、「たかが数字」と思う方も
いるかもしれない。
私が個人的に注目したのは、出生数と婚姻件数が減少し続けているというところ
である。その原因は様々な方が様々な場所で検証していることとは思うが、私は
「これまで封建的社会が婚姻や出生を支えていた側面が大きく、根底にその思想を
抱えたまま、個人の自由や権利の尊厳に傾けた結果」ではないかと思っている。
例えば、現在も国会で審議が継続している「選択的夫婦別氏制度」については、
夫婦別氏を望む声が多数あるにもかかわらず、一定数の反対意見があって中々結論
が見えてこない。
その反対意見の多くは、封建的社会の象徴ともいえる「家制度や家長制」が、家族
という共同体の感覚を下支えしており、その伝統は守られるべきであり、夫婦別氏
はその根底を揺るがす行為であるというものである。
こうした考えと「個人の自由や権利の尊厳、あるいは夫婦間に上下関係はない」と
の考えが相容れない関係性にあり、前者の考えを持つ方が一定数いる状況で後者の
考えを持つ方が増えてきていることから婚姻件数が減少し、結果として出生数が
減少し続けているのではないかと思ったりする。
会社という組織は封建的である。そうすることで組織が掲げた理念や目的を達成
することが可能となるため、そのような形態をとっている会社がほとんどである。
しかしそんな会社組織であっても、封建的機能を保ちつつ個人の自由や権利の尊厳
をさらに深めていこうと様々な取り組みを行っている。
会社組織よりも家族こそ、個人の自由や権利の尊厳をさらに深めていかなければ
ならない共同体ではないのかと考えた時に、「選択的夫婦別氏制度」はその考え方
の一つの象徴となるのではないだろうか。
別段、伝統を軽視するつもりも否定するつもりもない。ただ、変化し続ける社会に
対応する家族の在り方を考えなければならない状況にあるように思う。