江別市内で高齢者介護事業にかかわることになって14年が経つ。
他市で同事業に携わっていた経験から、江別市に来た当初は「在宅で最期を迎える
人がやけに少ないなぁ。」という印象を持っていた。
だが、すぐに理由が分かった。
その一つは、
江別市は、周辺の他市と比較して『在宅医療後進地域』であった。
在宅医療に携わる医療機関や医師が全くいなかったわけではない。
ただ、「かかりつけの患者しか看ない。臨時訪問(往診)は対応できない。」と
いった制約が多く、実質的には機能していないに等しい状況だった。
二つ目には、
在宅サービスが『お役所的発想』しか持っていない事業者があまりにも多く、
祝祭日を休業日とすることは「当たり前」としている事業者がほとんどであった。
これは、土日祝祭日は対応する家族等が必ずいるという想定であり、医療機関も
在宅介護サービス事業者も在宅医療に対する理解が十分にはできていない状況に
あったと思う。
結果として、在宅医療に携わる専門職が育たなかった。
三つ目には、
江別市民が、そうした医療機関や在宅介護サービス事業者の対応に『疑問を持って
いなかった。あきらめていた。いざとなったら札幌へ行けばいい。』と考えていた
からではないかと思う。
考えた結果として、施設等への入居を“選択”することには何の違和感も持たない。
それぞれに事情があるのだから、当たり前のことである。
ただし、『選択する』ということは、『選択肢がある』ということである。
少し前の江別市では、「在宅で最期まで。」という選択肢は、限られたごく一部の
方にしかあてはまらない選択肢だった。
つまりは、とても選択肢と呼べる状況にはなかったということだ。
ここ最近になってようやくその状況が改められてきた。
これから、江別市は「もっともっと住みやすいと感じることができる町」になる
ことだろう。
その一役を担うべく、我々も尽力したい。