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2023.9.13
前回当ブログで『芸能事務所社長による小児性加害』に対して、未だに同事務所の
所属タレントを登用し続け、「タレント個人に責任はない」などと詭弁を垂れてい
るマスメディアを批判した。
「タレント個人に責任はない」
一見すると正義感溢れる聞こえの良い言い回しに思える。
しかし実態は全くちがうだろう。その実態は、「同事務所の所属タレントを登用
することで大きな利益が得られる。逆に登用しなければ大きな損失となる」ことで
しかない。
つまり、このような詭弁を垂れているマスメディアの本音は「自社の利益追求に
比べたら、性被害など造作もないこと」といったところだろう。
そもそも、マスメディアは個人の人権のことなどは一切考えていない。個人に責任
はないなどと言っている一方で、性被害に遭っている個人の人権は完全に無視し
続けてきたのだから。
これまでどおり、事実を黙殺し隠蔽に加担し続ける方針にブレはないのである。
そういった方針なのであれば、初めからそう言えばいい。「私たちは会社の利益を
追求します。そのためには性犯罪には目をつぶります」といった具合に。
にもかかわらず、社会正義だの権力の監視だのと自分たちの存在意義を美化したり
する。
やってることと言ってることのつじつまが全く合わないマスメディアが”マスゴミ”
と揶揄される所以はここにある。
性加害者の芸能事務所社長は相当な鬼畜だが、マスゴミも負けず劣らずの鬼畜ぶり
を発揮していると言えよう。
第三者委員会の設置が必要なのは、当該芸能事務所だけではなく、マスメディアに
対しても同様に必要である。そうしなければ、鬼畜の所業は何度も繰り返される
ことになる。
ただ残念なことに、多くの国民が下衆なマスゴミを重用し、企業がその後ろ盾と
なってしまっている現実がある。この国では、性被害が他人事として扱われ、時に
下衆な趣向を満足させる道具として使用される。そして、いつの日か自分や自分の
身近な者にそういった被害が降りかかって初めて自分の愚かさに気が付く。
性被害は、その時だけの痛みや苦しみでは終わらない。長い年月にわたって痛みや
苦しみが続く方も多くいらっしゃる。その苦しみに耐えきれずに自ら命を絶つ方も
いらっしゃる。
だからこそ、性被害の事実に対して、詭弁を使って黙殺し隠蔽することなどは絶対
にあってはならない。実際に自分の身に降りかからないとわからないのかもしれな
いが、少しくらい想像力を働かせることはできるだろうに。
今後は、「タレント個人に責任はない」=「自分は性犯罪を容認する鬼畜です」と
名乗ってもらいたい。
2023.9.12
本日の天気予報では、昼前後から道央地域に大雨が降ると予想されており、その通
りの状況になっている。
ただ、ここまで激しい落雷が続くとは思っていなかったため、非常に驚いている。
それでも、停電や断水に備えつつ、現状の介護サービスが継続することができる
ように各事業所に指示を出したところだ。
毎年9月6日には、「北海道胆振東部地震の教訓を生かそう」と心に誓っていた
ことも功を奏して、ほぼ万全の準備はできている。ただ今一度、気を引き締めて
災害対策に努めたい。
教訓と言えば、前回当ブログで取り上げた『芸能事務所社長による小児性加害』に
対して、行政やマスメディア、企業はどのような教訓を得たのだろうか。
未だに同事務所の所属タレントを登用し続け、「タレント個人に責任はない」など
と詭弁を垂れていることが散見される。
もしもこの理屈が通用するのであれば、保険金の不正請求などで問題となっている
中古車販売大手の会社社員が、「私は不正に関与していないので、私から車を買う
ことは問題ない」と主張するようなものだろう。
そんなことが認められるはずがなかろう。
車にせよ、タレントにせよ、売り出すためには会社全体がかかわっている。そして
その利益は会社全体で享受することになる。
社員やタレント個人の問題と会社の問題を同じ土俵で語ろうとすることに無理が
ある。「タレント個人に責任はない」などといって美談にでもしたいのか意図は
よくわからないが、タレント個人を守ると言っておきながら、結果的に会社を守る
ことにしかならない。
雇用契約の中で個人が不利益を被ることがあったのであれば、会社を相手に補償を
求めることが妥当なのであって、直接関係のないマスメディアや企業が介入する
話ではない。
結局のところ、大手芸能事務所とマスメディアや企業が得た教訓は、「今後もズブ
ズブの関係を築き、弱者や被害者の声を黙殺しつつ、国民を欺くことで互いの利益
を享受することができる」というものだろう。
何ともふざけた教訓だ。
2023.9.11
どうやら我が国は、小児性犯罪にとても寛大な国らしい。
数十年にわたって鬼畜の所業を繰り返してきた芸能事務所の代表、そしてその隠蔽
に加担し続けてきたマスメディア、さらには事実を知りながら沈黙を貫く関係者、
被害者の声に耳を傾けようとしない警察や検察、どれもこれも腐りきっている。
令和元年5月に改正された『労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及
び職業生活の充実等に関する法律』では、大企業は2020年から、中小企業は
2022年から、パワハラ防止方針の明確化や相談体制の整備、パワハラに関する
労使紛争を速やかに解決する体制を整えることが義務化された。
がしかし、この流れが現状の大幅改善に寄与することはほぼ期待できず、絵に描い
た餅に終わることが目に見えている。
なぜなら、我が国にはハラスメントを適切にジャッジできる主要機関が無いから
である。
事なかれ主義で国際社会から突き上げを食らって初めて重い腰を上げる政治や行政
強い者には媚びへつらい、手ごろな相手を見つけて集団で叩きのめすマスメディア
被害者の人権よりも加害者の人権をやたらと重んじる法曹界、どれを取っても弱者
にまともに寄り添ってくれるところはない。
1993年に国連総会で決議された「国内人権機関の地位に関する原則」では、
政府から独立した「国内人権機関」を設置することが求められていて、120カ国
以上で設置されているにもかかわらず、未だに日本では設置されていない。
我が国はハラスメント天国で、加害者にとってはこれ以上ない環境と言えよう。
そもそもハラスメントの構図は、加害者にその意識はほとんどないことが多く、
被害者の訴えを理解あるいは認識していないことから始まる。そんな双方が話し合
いの場を持ったところで認識が全く違うため、解決することは至難の業となる。
さらには被害者の声は非常に小さいため、簡単に黙殺されてしまう。
だからこそ、ハラスメントを適切にジャッジできる主要機関が重要となる。
現状の改善に向けた初めの一歩としては、国民一人一人が「この国はハラスメント
に対する意識がまともではない。」と強く認識して、こうした状況を助長、容認し
ているマスメディアや企業に厳しい態度を示すことではないだろうか。
自社の利益を優先して、子供たちの人権を踏みにじった罪は決して軽くはない。
そして、ハラスメントに対する意識改革が進んでから、絵に描いた餅にならない
ような「国内人権機関」の設置を求めていくことがいいだろうと思う。
2023.9.8
昨日は色々あって、とても疲れた。
そんな疲れた時には、当方が営業している『のみくい処とっかり』でランチする
ことが一番の薬となる。
今日は、ニンニク油で軽く炒めた焼きそば麵を少し辛めの溶き卵ですき焼き風に
していただくつけ麺。

初めて食べた代物だったが、驚くほど絶品だった。
そして、付け合わせでだしてもらったゴーヤの天ぷらがまた格別に美味しかった。

中には、鳥と豚の合いびき肉が入っていて、ゴーヤの苦みと付けだれの甘味のコン
トラストが絶妙だった。
ただ一つ残念だったのは、このメニューはお酒と一緒にいただきたかった~
皆様も是非ご賞味ください。メチャメチャお勧めです!
2023.9.1
次年度の介護保険制度改正に向けて審議されている内容を見てみると、厚生労働省
は、地域包括支援センターの業務負担の軽減に向けた施策を本気で検討したいらし
いことがわかる。
以前に当ブログでも取り上げた『介護予防支援のケアマネジメントを居宅支援事業
所にも担ってもらう』ことがその一つなのだが、もう一つは『総合相談支援業務の
一部も居宅支援事業所にも担ってもらう』ことを考えているようだ。
総合相談とは、地域に住む高齢者に関するさまざまな相談をすべて受け止め、適切
な機関・制度・サービスにつなぎ、継続的にフォローすることを指す。
これまでの制度は、医療、保健、福祉が個別に機能する”制度の縦割り化”が強く、
医療なのか保健なのか福祉なのかの区分が難しい状況下にある場合に、複数の窓口
を”たらい回し”にされることが多くあった。
そこで、生活を軸として総合的に相談できる仕組みが必要だということになって、
総合相談という考え方が生まれ、あらゆるサービスの調整まで可能になるといった
ワンストップサービス拠点として、地域包括支援センターがこの役割を担うことに
なった。
こうした背景から、地域包括支援センターのメイン業務は、『総合相談支援業務』
と言っても過言ではない。
しかし情けないことに、全国の地域包括支援センターを対象としたアンケート調査
の結果によると、地域包括支援センターに所属する職員は、負担を感じている業務
の第1位を『総合相談支援業務』と回答しているとのことである。
こうした調査結果を受けて、厚生労働省は『総合相談支援業務の一部も居宅支援事
業所にも担ってもらう』などと考えているのだろう。
総合相談業務が「一番大変だ」と思うこと自体は間違いではないし、実際に大変な
苦労をして業務に従事していることと思う。
ただ、それを言っちゃおしまいだろう。
トラックドライバーが「運転することが一番大変です」とか、魚屋さんが「魚を
売ることが一番大変です」と言っていたら皆どう思うだろう。
そんな当たり前のことを恥ずかしげもなく、「1番大変」と回答している人達って
地域包括支援センターの役割を理解しているのだろうか。個人的には、そんな人達
に総合相談業務に従事してもらいたくはない。
そして、そんな当たり前のことを取り上げて、業務負担の軽減を図るために業務の
一部を居宅介護支援事業所に担わせようとしている厚生労働省はもっとどうかして
いる。
そんなことを言い出すのであれば、「何で、総合相談の役割も担っていた居宅介護
支援事業からその役割を切り離して、地域包括支援センターを創設してその役割を
担わせることにしたのか」問いたくなる。
2023.8.28
『政府は24日、働きやすい職場環境づくりに注力する先進的な介護事業者の表彰式を開催し、職員の処遇改善や人材の育成、現場の生産性向上で優れた取り組みを展開している介護施設などの功績をたたえるもの。好事例を取り上げて紹介し、その普及につなげていく狙いもある。』
との報道を見て思うこと。
思うことはただ一つ、「また、やってるよ」である。
当ブログの『行政が優劣の評価?』でも申し上げた通りだが、行政は何かと事業者
を評価したがる。
そして今回は、内閣総理大臣からの表彰が付いてくるとは恐れ入った。
何度も言うが、行政には事業者の優劣を選定するセンスも趣向もない。
ただ単に、予め設定した項目をクリアしていることが優良事業所だと決めつけて、
実質的な中身など大して見ることもできない連中が、良し悪しを語るなどお笑い
種もいいところだろう。
そもそも、予め設定した項目が正しければ良いのだが、行政にとって都合の良い
項目をあげつらっているだけで、まるで中身がない。事業者の優劣はそんな単純な
作業で決めることができるものではない。
「決められた調味料を決められた分量で調理することが美味しい料理」と決めつけ
ることほど情けない話はない。まして、料理に関する知識もなければ、料理したこ
とすらない人が評論家気取りでこうした定義を設定するなど呆れてしまう。
だいたい、料理は味だけが優劣を決める項目ではない。料理は味覚だけで味わう
ものではない。それに、同じ料理でも食べる場所や相手といったシチュエーション
によっても印象は変わってくる。
今回表彰を受けた法人のことはよく知らないので、そのことに触れるつもりは一切
ないが、行政が主導する表彰の類は決まってシナリオが予め作られている。今回も
何も無い真っ新な状態から審査を始めたわけではないことは大方予想できる。
これまでも、行政から高い評価を得ていながら、地域住民からの評判がすこぶる
悪い企業や事業者をいやというほど見てきた。
行政はいつまで不得意分野であるはずの評論家を気取るつもりなのだろうか。
余計なことはせず、黙って指導監督の役割だけを担っていたらよい。
当方は、内閣総理大臣からの評価よりも地域住民から高い評価が得られることを
目指したい。
2023.8.23
今日の江別市の予想最高気温は33℃で、お隣の札幌市は36℃、ひよっとすると
過去最高記録を更新するかもしれないと言われている。
お盆を過ぎてもなお続くこの暑さにはさすがに参ってしまう。
話しは変わるが、先週末少し遅れて”お墓参り”へ行ってきた。
毎年、混雑する時期を少し外していたのだが、今年は日常業務の合間に新規事業で
ある『のみくい処トッカリ』の立ち上げや運営に日々明け暮れていたため、中々
都合がつかなかった。(ご先祖様、申し訳ありませんでした)
祖父母や父が眠るお墓をきれいに掃除して、お供えをしてきた。
そして帰りには、毎年恒例の当別町にある『かばと製麺所』でひと休憩した。

流石人気店とあって、昼前にもかかわらず1時間並んでようやくお目当ての
”うどんと天ぷら”をいただくことができた。
屋外に設置されているテーブル席で食べることにしたのだが、この日も猛暑で照り
付ける日差しに耐えながらの食事となった。(でもやっぱ、美味しかった~)
とにかくこの日もとても暑かった。
炎天下で1時間行列に加わっていたのだが、中には体調を崩したらしく、食事を
断念して帰っていく方もいらっしゃった。
これから外出を予定されている方も多くいらっしゃるだろうが、暑さ対策を忘れず
に楽しんでもらいたい。
2023.8.22
日本の製薬エーザイと米バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病の新しい
治療薬「レカネマブ(商品名レケンビ)」について、厚生労働省の専門家部会が
昨日、国内での製造販売承認を了承した。正式に承認されれば、認知症の原因物質
を除去する初めての治療薬となる。
これまでにも認知症薬は存在していたが、いずれも神経の働きを活発にして症状の
緩和を図る効果を狙っていたものだが、レカネマブは病気の原因となるアミロイド
βを除去し、進行を抑えることを狙うもので、認知症の原因物質を除去する初めて
の治療薬となり、国際的な臨床試験(治験)では、18カ月の投与で、偽薬と比べ
記憶力や判断力などの程度を評価するスコアの悪化が27%抑えられたとの報告が
あるなど、今後の認知症治療の希望の光となっている。
ただ残念ながら、この薬も万能薬とはならない。
一度、アミロイドβによって破壊されてしまった神経細胞は再生しないため、症状
が進んだ人には、レカネマブは対象となっていない。
また、薬を使った人の中で、脳内の浮腫や微小出血などの副作用も確認されていて
今のところは、それなりにリスクを伴う薬のようだ。
国内に認知症で苦しむ方やそのご家族が相当数いる。
希望の光が本物の光となる日が来ることを心から待ち望んでいる。
2023.8.21
先週末、当方が運営する「小規模多機能ホームみのりの丘」が、江別市による
『実地指導』を受けた。
介護保険制度の下で介護サービス事業を行う事業者は、5~6年に一度、指定権者
である都道府県あるいは市区町村の訪問を受けて、法令に沿った適切な事業運営が
行われているかを確認する『実地指導』を受けることとなっている。
この実地指導を『監査』と表現する業界の方もいるが、それは正しくない。
実地指導は、文字通り指導を受ける場ではあるが、行政処分を受けることを前提と
したものではなく、行政と現場との意見交換に近いものである。
介護サービスの現場では、法令を適切に理解して運営しているつもりでいても、
その解釈を間違えていたり、判断に迷っていることがある。
そのため、行政の担当者との意見交換は、日頃の事業運営を整理することができる
絶好の場となることが多い。
今回の結果としては、概ね法令を遵守した運営になっているとのことであったが、
若干の書類の不備などがあり、反省すべき点はあった。
担当者の方々は、非常にわかりやすく丁寧にご指導してくださったし、今後に
役立つ様々なアドバイスも下さった。
今後の事業運営にとって、非常に有意義な時間を持つことができた。
ちなみに、『監査』とは、法令違反や不正がある、または強く疑われる場合に
行われるもので、何らかの行政処分を受けることが多い。
来月にも当方が運営する他の事業所が実地指導を受けることになっている。
更なる事業運営の改善にむけた有意義な時間としたい。
2023.8.16
厚生労働省は、来年の介護報酬改定に向けた協議を重ねる中で、介護老人保健施設
を俎上に載せ、利用者の在宅復帰を後押しする機能の更なる促進を論点として提示
したが、日本医師会からは、「超強化型など機能が高くなるほど、人件費が上がっ
たり稼働率が下がったりして経営が厳しくなる。基本報酬の設定についてより詳細
な検討が必要ではないか」と提言があった。また、連合の生活福祉局長は、「在宅
復帰に向けた地域拠点としての役割、リハビリで心身機能を維持・改善する役割は
引き続き重要。報酬のメリハリ付けも念頭に置きつつ、サービスを必要とする高齢
者がしっかりと利用できるようにしていくことが必要」と述べた。
介護保険制度が制定されてから20年以上が経過しているが、介護老人保健施設の
取り扱いは迷走している。この施設は、「行き場を失った高齢者の社会的入院」を
解消するとともに、終の棲家として位置づけられている特別養護老人ホームとは
一線を画して、「在宅復帰を後押しする施設」という考え方のもとで誕生した。
立派な理念に基づいて制度化されたこの施設であったが、そもそも「行き場を失っ
た高齢者」の行き場を確保していないのだから、どれだけ立派な施設を作っても、
優秀なスタッフを揃えても「在宅復帰」にたどり着けるはずもない。
本来強化すべきなのは、受け皿となる在宅サービスの方である。逆説的に言えば、
介護老人保健施設のような立派な施設が無くても、在宅サービスが充実し十分に
機能していれば「在宅復帰」はいくらでも可能になる。
例えるなら、一生懸命に高性能な車を開発することに熱心で、肝心の道路を全く
整備していない状態と変わらない。未開の地で高性能なスポーツカーを走らせた
ところで”宝の持ち腐れ”にしかならない。
在宅サービスは、施設サービスと比較すると決して効率的とは言えない。
施設サービスの場合は、一所に要援護者も援助者も集まっているため、移動に時間
を要することもなければ、援助者の交代時にタイムラグも生じにくい。また、物理
的に多職種が連携しやすい。
一方で在宅サービスは、各ご自宅を単一の介護サービスが訪問して支援を提供して
いるため、上記の施設サービスであげた事柄が全て短所となってしまう。
在宅サービスは、時間や手間がかかる。つまり、人手とお金がかかるのである。
「施設を作ればなんとかなる」という安易な思考では、在宅復帰の課題は何一つ
解決しない。必要なときには手間やお金をかけなければならない。
ただし、人も金もないこのご時世で、むやみに在宅サービスを増やしていくことも
また非現実的といえるだろう。そこで、在宅サービスの中でも比較的効率がよく、
上記に挙げた短所が軽減される多機能系サービスを充実していく以外の方法はない
と考えている。
ところが、施設サービスよりも時間や手間がかかる多機能系サービスの介護報酬は
施設サービスよりも低く設定されている。
よほど強い理念をもっているか、その他のメリットが見いだせない限りは、時間や
手間がかかる割に報酬が低い事業を積極的に運営しようと考える企業はほぼない。
これが、多機能系サービスが増えてこない一因である。
国は、本気で「在宅復帰率」を高めたいと考えているのであれば、機能強化や介護
報酬改善の対象を介護老人保健施設ではなく多機能系サービスにするべきだろう。
その結果として、介護保険財政が健全化するだけではなく、在宅生活を強く望む
国民の要望に応えることにもつながる。